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WCS用稲は2028年度から品種で単価に差、専用品種への転換を促す新水田政策の読み方

WCS用稲は2028年度から品種で単価に差、専用品種への転換を促す新水田政策の読み方のニュース解説イメージ

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の事業者・製品の推奨ではありません。

ニュースの概要

農林水産省は、2027年度から始める新しい水田政策の中で、稲の茎と葉を実ごと刈り取って発酵させ、牛の餌にする発酵粗飼料(WCS)用稲の支援のあり方を見直す方向で検討している。主食用と同じ一般品種で作る場合の支援単価は、2028年度から段階的に下げる案だ。一方で、栄養価や収量に優れる専用品種は引き続き手厚く支え、品種の切り替えを後押しする狙いがある。あわせて、飼料作物全体については、収量に応じて単価を三段階に分ける案も示された。農家の品種選びや種子の需要にも、大きく波及しそうだ。

引用元: WCS用稲で一般品種と専用品種の支援単価に差、新水田政策を検討(日本農業新聞)

分析・見解

一般品種の単価を下げる狙いは「面積」から「中身」への転換

WCS用稲は、主食用米の作付けを減らしながら水田を保てる手段として広がってきた。現行の交付単価は10アールあたり8万円で、品種による差はない。そのため、主食用と同じ品種を植え、いつもの管理のまま収穫して出荷する選択も成り立ってきた。

新方針は、水田を使っているかどうかではなく、牛の餌としてどれだけ役に立つかで支援を測る考え方への移行である。主食用米の需給を調整する役目から、国産飼料の質を高める役目へ、制度の重心が移ろうとしている。

専用品種は何が違うのか、現場の差はどこに出るか

専用品種は、実の量よりも茎や葉の量、消化のしやすさを重視して育てられている。収量が多く、倒れにくく、牛が食べたときのエネルギーも確保しやすい。主食用品種は味と粒の品質が目標で、茎葉をたくさん取る設計ではない。同じ田んぼでも、得られる餌の量と質に差が出る。

畜産農家から見れば、この差は購入飼料費に直結する。輸入とうもろこしや牧草の価格が高止まりする中、国産の粗飼料(=牛の胃腸を整える繊維質の餌)の質を上げたいという政策の意図は理解しやすい。

収量に応じた3段階の単価は、成果払いへの第一歩

飼料作物全般で収量に応じて単価を3段階に分ける案は、品種という入口の条件に加え、実際の成果でも単価を変える発想である。努力して多収を実現した農家が報われる点は合理的だ。

ただし、運用は簡単ではない。収量をどう測り、誰が確認するのか。天候不順の年に単価が下がれば、農家には不公平に映る。品種による差と収量による差が重なると、制度は一気に複雑になる。計量や報告の手間が増えれば、高齢の担い手ほど負担を感じやすい。制度が受け入れられるかどうかは、この設計にかかっている。

見落とされやすいのは種子と機械と地域の事情

専用品種に切り替えるには、まず種子が要る。種子は計画的に増やす作物で、需要が急に増えても一年では間に合わない。2028年度の引き下げ開始までに、産地ごとの需要を早く読み、生産を計画する必要がある。また、専用品種は品種ごとに向く地域や熟期(=実る時期)が違い、どこでも同じ品種が使えるわけではない。

さらに、収穫と梱包に使う専用機械の稼働時期や、稲作農家と畜産農家の契約のあり方も絡む。品種選びは稲作側の判断だけでは決まらず、餌を使う畜産側の要望が鍵になる。

ビジネスへの影響

稲作農家は品種と販売先を2027年までに決め直す

一般品種でWCS用稲を作っている農家は、2028年度以降の単価低下を前提に、収支を試算し直したい。種子代や、収穫・梱包を委託する場合の料金も含めて比べることが大切だ。まず、自分の田んぼで専用品種を作った場合の収量を、地域の試験や近隣の事例で確認する。単価が下がっても、収量が増えれば10アールあたりの収入を守れる可能性がある。品種によっては収穫期が主食用とずれるため、作業の集中を和らげる効果も見込める。

逆に、地域に合う専用品種が見つからない場合は、主食用、飼料用米、麦、大豆など他の作物と比べて選び直す判断も要る。

決めるときは、畜産農家との契約が先になる。引き取り価格、引き渡し時期、品質の基準を文書にしておけば、品種を変えた年の売れ残りの不安は減る。

畜産・種苗・機械の事業者は需要の波に備える

畜産農家にとっては、専用品種の稲を地元で確保できれば、輸入飼料への依存を減らす機会になる。稲作農家に品種の希望を早めに伝え、栄養成分の分析結果を共有する関係づくりが効く。

種苗会社や農協には、種子の供給計画を前倒しで組む動きが求められる。需要が見えにくいうちは増産しづらいため、生産者からの予約を集める仕組みが有効だろう。収穫・梱包機械を販売、貸し出す事業者は、作付けが一部の地域に集まる可能性を見て、台数や整備体制を考えたい。

最後に、制度の細部はまだ検討段階である。単価や開始時期は変わりうるので、農林水産省の発表や自治体の説明会を確認しながら、複数の選択肢を残して動くのが安全だ。

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